社長の一言

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山形の中小企業がSDGsに取り組むメリットとは?(2/3)

※前の記事山形の中小企業がSDGsに取り組むメリットとは?(1/3)読む


ちょうど小生の長男は2019年新卒にあたる生まれで、宮城大学卒業式の際、大学長の祝辞がSDGsと子供たち、そして社会との関係について分かりやすく触れられていたので紹介したい。

「東北という課題先進地域で学んだ若者であるみなさんは、真にSDGs達成の担い手として期待されるものであります。今、SDGsを宣言する企業、団体が増えてきています。多くのみなさんがこれから働く企業や団体もSDGsを意識した活動をすることになっていくと思われます。みなさんはこれまで得てきた知識と経験をもとに自信を持って大いに力量を発揮していただきたいという風に思います。」

 若者たちは「未来からの留学生」と言われるが、大学長からの祝辞でSDGsというキーワードが飛び込んできた時、SDGsという新たな価値観を実装した「この子たちが活躍する時代は遠くない」と眩い光景が浮かんだ。

 現に、この様な教育の恩恵を受けて彼が選んだ企業は、まさにサステナブルの代名詞の様な企業だった。男女比率一対一で多様性に富み、「長期インターン賞」や「働きがいのある会社」ベストカンパニーを受賞していることからも「働き方」という独りよがりになりがちな会社目線の画一的で押し付け的なものでなく「働きがい」という労働者目線でウェルビーイング(身体的、精神的、社会的に良好な状態)に向き合っていることが想像に易しい。また、大企業というわけでも無いのに、社内起業が可能だったり、例えインターン生であっても分け隔てなく裁量を与えるなど、SDGs目標8「働きがいも経済成長も」を体現している、生き甲斐を感じられる企業に巡り逢えたようだ。

 加えて、彼がここで、総勢200名規模の企業の会社の根幹をなす花形部署の中で、インターン生にもかかわらず歴代最高業績を飾り、水を得た魚の様に活躍出来たのは、誰にでも機会を与えるという風土の中で裁量が与えられたり、人財開発に熱心な企業だったから達成できたことだと後から分かった。決して彼が特別だった訳ではなく、「働きがい改革」の恩恵で、若者たちが著しい成長を遂げているのだ。一度は、ネームバリューのある企業を蹴り、親心でいっ時は心配したりもしたが、無名企業ながらも働きがいのある企業を見抜く千里眼を養えたのはSDGs教育の成果だったのだろうと確信を深めている。

 同様に地元でも、山形大学や東北芸術工科大学等もSDGs教育に積極的だ。山形大学の「YU ~SDGs Enpower Station」では、県内企業、自治体との連携による学習カリキュラムまでも提供しており、持続可能社会を実現すべくSDGsの担い手が育成されている。彼らの社会進出にともない、県内企業は、SDGs実装に自信を深めながらSDGs経営を発揮していくことだろう。

 いつの時代も、常識が塗り替えられながら動いている。親が願うレールに乗って安定を求めて企業を選択する、本人の気持ちを置き去りにした不条理な悪しき文化は終焉を迎え、SDGs目線で社会貢献や、やりがいで選ぶような行動変容が起きているのだ。それを裏付けるかの様に統計にも現れている。2021年新卒求人倍率で、1000人以上の大企業より300人〜999人規模の中小企業が統計開始以来初めて逆転したのだ。7割を超える学生が「SDGs」に取り組む企業は志望度が上がるという回答にみられる様に就活に地殻変動を起こしている。先に紹介したエシカル就活だ。安定よりもSDGsや、やり甲斐を求めているのだ。

 この傾向を鑑みれば、300人未満でも100人未満でも10人未満であっても、SDGsの取り組みや、やり甲斐、生き甲斐といった点に真摯に取り組むことが組織の持続可能性、レジリエンス(しなやか且つ強靭性)を高める上で喫緊の課題だと言える。

 

 もし万が一、SDGsを実装しなかった場合どうなるだろう。

 年を追う毎に中学生から或いは小学生からSDGsを学んで実装した子供たちが世に送り出さられ、呼応する様に受け皿になろうとする企業が増えていく中でガラパゴス化し、魅力を失い見向きもされなくなるだろう。あとは組織が老いていくばかりだ。

 「ものづくりの上流」は、メーカーや元請企業を頂点に一次・二次・三次サプライヤーや、ひ孫請けに仕事が流れる。トヨタや花王といった産業界の動きをみても、人権や環境に対するデューデリジェンス(当然に実施すべき注意義務や努力)を徹底する動きが出ている。分かりやすく解説すると、顧客との約束は最上流のメーカーだけでなく、関わっている末端のサプライヤーに至るまで連帯責任を負うものであり、万が一にも環境や人権に抵触することが発覚した場合、サプライヤーから外される経営リスクを負うばかりでなく、社会からの信用を失うことになろう。この動きは全ての産業に波及すると覚えていた方が良いだろう。

 金融や行政もSDGs経営を推進すべく様々なインセンティブが用意されてきている。逆にこれから、取り組まない企業は社会にネガティブなインパクトを与えていることを警戒して、企業の評価が下がるという経営リスクを抱えるだろう。

 メディア等の広報や番組を通じて、社会の目も年々肥えてくる。社会とは我々一人ひとりを指す。組織の内部からも変容を求める、無言のバイアスがかかってくるだろう。

 極め付けは、県内某建設大手の社長が、「これからの企業経営は社会の課題を抱えながら経営しなければならない。」というメッセージを発信したが、今後、「御社が取り組むサステナビリティは何ですか?」との問いに答えられない企業は価値を問われることになるだろう。(2019年放送、山形経済同友会提供番組「提言の広場」、第32回全国経済同友会セミナーin新潟で開催されたSDGsの分科会後の出口インタビューにて。)

山形の中小企業がSDGsに取り組むメリットとは?(3/3)に続きます

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