環境社の取り組みは、制度が整っているかどうかにかかわらず、「説明できるか」を判断基準として積み重ねてきたものです。
しかしその過程で、現場には制度だけでは解決できない構造的な課題があることを、繰り返し実感してきました。
ここでは、その実態を正直に記します。
金属スクラップの買取市場では、「高く買う業者が選ばれる」という競争が起きています。
排出する側からすれば、少しでも高く引き取ってもらいたいのは当然の感覚です。そこに異論はありません。
ただ、その高値がどこから来ているのかを問い直すと、業界の歪みが見えてきます。
一部の業者が高値を出せる理由は、競争力があるからではありません。
環境コストを十分に負っていないからです。
フロンを適切に回収・破壊しない。油の流出に備えた設備を持たない。解体時の粉じんや煤の飛散を管理しない。廃棄物の最終処分を正規ルートに乗せない。
こうしたコストを省くことで生まれた余地が、高い買取価格の原資になっている例があります。
これは本来の価格競争ではありません。環境と社会への負担を、見えないところに押し付けることで成立している、不公正な競争です。
そしてそのコストは消えません。土壌汚染、火災、地域への影響――形を変えて、社会全体に請求されます。排出事業者が「高く売れた」と感じたとき、そのコストを誰かが引き受けているという現実があります。
輸出に伴う消費税還付は、輸出一般に適用される制度であり、制度そのものを問題視するものではありません。
ただ金属スクラップ分野においては、この仕組みが結果として、国内適正処理を担う事業者との競争条件に影響しているのではないか、という論点が業界・政策会合で繰り返し提起されてきました。
仕組みを整理すると、こうなります。
国内で発生した金属スクラップを輸出した場合、輸出業者は仕入れに含まれた消費税の還付を受け得ます。一方、国内でマテリアルリサイクルを行う事業者には、同様の還付は生じません。
結果として、国外に流出させる事業者が税制上の優位を持ち、国内で適正に循環させる事業者が価格競争で不利になる構造が生まれています。
制度の趣旨そのものを否定するものではありませんが、循環資源の国内確保と適正処理を政策課題として掲げる現在の方向性との間に、検討すべき矛盾があることは確かです。
2026年3月、環境省・経済産業省が閣僚会議において「循環資源の不適正な国外流出抑制」を国家課題として正式に位置づけたことは、こうした乖離を埋める動きとして評価できます。今後の制度設計・運用見直しにおける重要課題の一つです。
こうした現実の中で、正直な処理を続けることは、短期的には不利に見えることがあります。それでも環境社がこの前提を変えてこなかった理由は、一つです。
環境コストを誰かに押し付けることで成立する価格は、いつか社会に戻ってくる。
環境社がこの問題を言語化し、発信し続けるのは、被害者意識からでも、競争上の不満からでもありません。
適正に処理し、国内で循環させる事業者が正当に評価される環境が整うことが、業界全体の健全化と、社会が求める循環経済の実現につながる。正直な循環が当たり前になる社会をつくること――それが、私たちの事業の目的であり、ミライクル(未来CLE)という言葉に込めた願いです。
本記述は、現場の実務から見えてきた構造的課題の記録です。「私たちの取り組み」で紹介している各活動は、こうした課題の中でも、実務として引き受け続けてきた判断の積み重ねです。
未来cle―リサイクル三段階論―
リサイクルには段階があると、私たちは考えています。「ただ集めて処理する」から「法を守る」へ、そして「正直な循環が正しく選ばれる社会をつくる」へ。
環境社のすべての取り組みは、この三段階論を背骨として考えています。
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